Harukamy's Memoranda

「ときドル v2」がソシャゲの虚無を感じられて最高にお勧め

「ときドル」とは

コナミ版アイマス。

アイマス、ラブライブ、ガルパなど数多ある「アイドルソシャゲ」にコナミがつっこんだコンテンツであり、1年もたずにサ終となったゲームである。

ゲームシステム、内容など総合的に見て、まぁこれらのリスペクトというか、もうリスペクトと呼んでいい範疇なのか、というゲームだ。キャラクター数は15で、カバーイラストとキャラクターイメージイラストがイラストレーションである以外は3Dモデルになっている。

概要

ビーマニシリーズによる先行プロモーション(シリーズ作品への楽曲の収録など)を経てリリースされたが、事前登録者数が目標の5万人に届かず、まともにプロモーションもされないままサービス終了となった、という、なんだかMUSECAとか、ミライダガッキとか、リフレクビートとかで聞いたことがあるような流れである。(いや、サービス終了は置いといて)

だが、一般的なサービス終了とは違い、ときドルに関してはアプリはv2にバージョンアップし、オフラインゲームとして生まれ変わった。 ゲーム内容はほとんど変わっておらず、フォーマットはいわゆるソシャゲのフォーマットのまま。しかし、オンライン要素、課金要素が消滅し、イベントもなくなり、その分プレイ報酬が大幅に上乗せされた。

これは、コナミが(ひなビタ♪やBlanc Bunny Banditのように)バーチャルミュージシャンコンテンツとして扱うようになった、という理解が恐らく正解に近いだろう。 実際、サービス終了後に新曲が追加されたり(しかもその新曲はときドルのほうには降ってこない)、ライブイベントが企画されたりしている。

コナミがビーマニシリーズを持っていなかったら終わっていた可能性が高いと思うので命拾いしたようだ。

サービス終了、といっているが、オンラインサービス終了であり、アプリ自体は終わっていない。 禅師油つの通りオフラインゲームとなったから普通に遊べるだけでなく、ちゃんとアップデートもされている。

ゲームのざっくり概要

  • プレイパートはほとんどがリズムゲームである。スキップはできないが、クリアした楽曲に関してはその後一定期間オートプレイは可能
  • 平均で数回プレイごとに短い会話パートが入る。パートヴォイス
  • 好感度などゲームの進行度合いによってシナリオが解放される。20-40段落程度のショートシナリオ。フルヴォイス
  • 会話パートのうち、「コミュ」と呼ばれるものについては報酬あり。ガチャチケットが3枚手に入る
  • リズムゲームはアイマスなどと同じ2本指プレイの5箇所のタップ/ホールド/スライド操作
  • 収録曲数は36で難易度は各4。PVという形で3Dモデルによるダンスシーンが入るが、全曲にあるわけではなく、10曲はPVのない形式
  • スコアはデッキの強さに依存するソシャゲ型カードゲーム形式。さらに「スキル発動率」という問題があるため運にも依存する。ただし、これらの要素を除いた純粋なプレイ結果もリザルト画面で見ることはできる
  • プレイの流れとしては、楽曲をプレイ(ライブ)してゲージをため、メロディアスライブ(これはオートプレイのステージ)をプレイするというのの繰り返し。他のソシャゲよりやることはシンプルで、メロディアスライブ後は大幅なバフがかかるため直後の楽曲プレイ大きくスコアを稼げるが、メロディアスライブをするには結構たくさんプレイしないとダメ
テクニックリザルトを100点にするには、カード要素を除外して全PERFECTを取る必要がある

プレイしてわかる、「ソシャゲは虚無」

会話パートも短く、パートヴォイスでしかなく、パターンも少ない。 さらに、シナリオは非常に薄い。 このため、ほぼやることはリズムゲームしかない。淡々とリズムゲームをするだけのゲームである。

ところが、これはこれで辛い。 まず曲数が少ない。少なく見積もっても200曲はあるGitadoraですら、割とやる曲に困るくらいなのだから、36曲だとプレイする曲は本当に少なくて同じような曲ばかりだなと感じてしまう。なので飽きる。 収録曲が古いものを中心としたコナミのゲーム楽曲と、非常にAKB的な曲ばかりであるためなおさらである。 いいなと思う曲が3曲くらいしかない。

それでも私は音ゲーが好きだから平気だけど、これで音ゲーパートをオートプレイにすると本当にゲー無になる。

ソシャゲ時代のときドルは配布石も少なく、スタミナも厳しいゲームだった。 このゲームは時間があくと調子がダウンしてリザルトが下がる(進行も悪くなる)形式であるため連続プレイが必要なのだが、スタミナが厳しい上に自然回復も少ないので音ゲーのプレイ自体が1日に数回しかできないようなゲームだったのだ。 そしてなおかつ、石が少ないのでガチャも回しにくいゲームだった。

オフラインになって、スタミナ回復アイテムが豊富に配られるようになった(それでも使い切ってしまうと入手方法が追加されないので厳しい)し、コミュごとにチケットが3枚配布されるから10プレイくらいで10連ガチャを回せるようになった。 なので、ソシャゲについてまわる「スタミナ切れでプレイできないまま何度もログインすることを強いられる」と「ガチャを回すのにひどくお金がかかり、高レアは全然出ない」という2つの大きな不満がほぼ解消されている。 ガチャはどんどん回すことができるし、排出率も一般的なソシャゲに比べればはるかに高い設定だ。

さらにいえば、ソシャゲで不満になりやすい「しょっちゅう入る長いロード」もない。

だが、だからこそ気づいてしまう。

まず、ソシャゲでこんなにたくさんはプレイできない。 こんなにたくさんプレイしようと思うと、周回課金がかなり必要だ。 さらに、こんなにガチャを回すというと廃課金するしかないので、やはり現実的ではない。

だが、「めちゃくちゃガチャを回してめちゃくちゃ周回する」といういわゆる廃人プレイをしても、なかなかコンプできない。有り余るスタミナを活かして3倍周回にしているのにだ。 パラメータ上げのために必要な周回があまりに多いし、最大スコアが出せるようなデッキにできるのが早いにもかかわらずいつまでもコンプできない。

この「コンプできない」がコンテンツがたくさんありすぎて遊びきれないという意味ならいいのだが、単に「時間をかけて周回しているから」であって、もうこれは遊びではない(特にオートプレイの場合)。

そして、その果てしない周回の先に何か楽しみがあるかというと、単に「MAXにした」という達成感だけであり、特にそれに値するコンテンツはない。つまり、オートプレイにしてしまうと、もう本当にゲームがないのだ。

そして、思い返してみても、基本的にソシャゲってそういうものである。 私がやっているものだと、あいミスはとてもドラマチックなメインストーリーがあり、花騎士はどうがんばっても読みきれないほどの膨大なシナリオがあるが、周回の果てにと言われると難しい。特にがっつりやっている人はシナリオなどは基本的に見てしまっているから、周回によって何らかのコンテンツを求めていることは少ないだろう。

確かにこれでは、毎週イベントを降らせることは必要だろう。 私なんかは週1でやれればいいほうくらいの感じなので、毎週イベントされてもとてもついていけないからむしろゲームを辞めてしまう理由になるのだが、そうして薄い内容でもイベントを追加して新しい周回を追加しないとゲームがゲー無であることが明らかになってしまう。 そして、ソシャゲにとっては周回こそがゲームそのものなのである。周回の先に何かを求めるのもバカバカしい。 ときドルは周回が音ゲーとして楽しめるのでまだかなりマシなほうだが、単なるタップ作業なオートプレイゲームはとても多い。

ときドルが短命だったこともあってそもそもコンテンツ希薄であるという側面はあるのだが、それを差し置いても、「オフライン化されたソシャゲ」をプレイすると、「人生においてソシャゲに費やす時間の意味」を考えるにはちょうどよかった。

ソシャゲは生きてるってこと?

ビジネスモデル的に考えたときに、ソシャゲが至って空疎なものであり、プレイヤーが他のプレイヤーを、毎月何万という単位で注ぎ込んでいない限りプレイする資格はないというような糾弾をする、というのはハッキリ言って異様なことだ。

基本的にはパチンコなどと同じ構図、同じ精神性であるといったことは強く感じられるのだが、ただ、ソシャゲを続ける理由もわからないではない。

ソシャゲのプレイというのは、単調な繰り返しである。 新しいイベントがある、新しいカードが追加されるといってもそれは定期的に恒例として発生するものであり、安定した未来と日常が提供されることになる。

生存は継続であるから、このような「特に考えなくても習性的に行える行為で、やることがあり、明確に余暇として定義できる」ということは、余暇に頭を使いたくない日常派にとっては、平和を実感できる日常を演出するものなのかもしれない。

Wrote on:
2020-03-13