私はSONARユーザーであった。
プロになったばかりの頃はXG Worksを使っていて、なんだかんだあった後にSONARに移ってきた。 ヤマハをやめて間もない頃で、私としては、ヤマハからローランドへの移籍、みたいな気持ちだった。
SONAR X2を狙っていたのだが、タイミング的にSONAR X3になった。 普通新しいことは喜ばしいことなのだが、RolandからTASCAMになってしまったため、いくつかの機能が失われてしまった。
その後、SONARはサブスクリプション制になった。 どうせ毎年新しくなるのだし、別に構わなかった。適当なタイミングでアップグレードする、というのはいつものことだ。
ライフタイムアップグレードが出たときは関心がひかれたけれども、DAW本体よりはプラグインのアップデートによって購入を決めることが多いため、本体だけアップグレードされても微妙だな、と思っていた。
Windows 10で動作確認して、「あー、一部プラグインが動かないなぁ、これはPratinum買わなきゃ駄目かなぁ」なんて思っていたらいつの間にか終わっていた。
私はFL StudioもSignature bundleを使っているので直ちに完全に困ってしまうわけではないのだけど、 SONARとFLは音楽ジャンルで完全に分けていて、今のところFLでベロシティを細々書くような普通の曲で使える感じではない。
結局SONARを使い続けることもできず、移住先としてAbilityを選択した。 まだ、Abilityに慣れていないし、機能もわかっていない段階だ。
しかし、「2月いっぱいの優待」ということで2月末にAbilityを買ったのだが、 その直前、2月23日にシンガポールのBnadLab TechnologiesがCakewalkの一部資産と知的財産権を取得したと発表していた。 Gibsonは「潰す」ということを明確にしていたけども、結局(あるべき形として)Cakewalk(SONARに限らず)を売却したわけだ。
CakewalkはSONARだけではなく、他にもある。 個人的には最も使いやすく強力だと信じているZ3ta+がなくなっては困ると思っていた。
Z3taに関しては今のところCakewalk storeは閉じてしまっているけれども、 Cakewalkが復活しているからには大丈夫だろう。 (私はもともとX3をインストールしてあるため、Z3taが今含まれているのかはわからない)
そう、SONARはCakewalk by BandLabという形で復活したのだ。 SONARという名前はなくなってしまったけれども(恐らく取得した資産の中にSONARという商標がないのだろう)、インストールしてみたそれは間違いなくSONARだった。
Cakewalk by BandLabは今のところ無料であり、付属するプラグインなどは少ないが誰でもSONAR Platinum相当のDAWを使うことができる。 今のところ、単に「公開した」という段階で、中身としてはSONAR Platinumと変わっていないらしい。 EULAに「TASCAM」の文字があったりもしたらしいのだけれども、ちゃんとBandLabになっていた。しかし、内容は全く同じだったが。
今までSONAR Platinumを使っていた人にとっては特にメリットはない。 だが、私のように前バージョンに留まっていた人にとっては「Windows 10で動作するようになる」という非常に大きなメリットがある。
無料化についてはどうなのか。
もし、今後Cakewalk by BandLabが無料化路線を進むのだとしたら、それはあまり歓迎できない。 基本的にはDAW製品は、よほどプラグインを買う人でなければ同梱プラグインに頼るし、だからDAWは大概上位グレードを買うことになる (実際、私はSONAR X3はProducerだし、FL STUDIOはSignature Bundleだし、AbilityはProである)。 少なくともCakewalk製品を盛り込んだバージョンは欲しい。
製品版とは別に無料版をリリースするということならどうだろう。
個人的には好ましくない部分もある。 無料版のある製品は、よくどうでもいい記事が量産され、知ったようなことが大量にかかれて検索性が下がるし、 普通に買って使っているユーザーが「無料だから質の低いもの」みたいに言われることもあるので、嬉しくないなぁ、と思ったりする。
だが、もともとSONARユーザーって少なくて、プロの現場だとかなり馬鹿にされる。 だいたいProToolsか、Cubaseか、Logicだから。 だから今更下に見られたところで今までの状況とあまり変わらないし、それよりはCakewalk育ちのユーザーがどんどんプロになってくれるほうがいい。
とにかく私は、SONARを使い続けられるのがウレシイ。 ただ、今後Abilityを使っていくのか、Cakewalkを使っていくのかは、何曲か作ってから決めることになるだろう。
なお、最初となるさとうささら曲はタイトルが決まった。 が、これはインパクトあると思うので、公開してのお楽しみ、とさせていただこう。